過去に、「ネットの電話帳」(旧「住所でポン」)に、個人の名前・住所・電話番号などが掲載されていることに対して、NTTに苦情の電話をいれたのを思い出しました。これってかなり迷惑なんですよ。… というのも、私の場合、旧住所が表示され、そこに、どういうわけか郵送物が届くという事態に。しかも、サイトの運営者に連絡しても、返答はまったくなく、悪びれた様子もなく、完全にプライバシーの侵害だろうと思っていました。紙媒体の電話帳なら、掲載を拒否すれば、掲載されませんが、この住所でポンってやつは、不特定多数に検索される以外にも、問い合わせても削除できない。あきらかに、プライバシー侵害でしょう。しかも、それをネタにして広告収入まで得ている始末です。・・・
NTT側に関しては、クレームを入れましたがマニュアルどおりの対応で、、掲載のデータ量からしても、転用されていることに間違いないにもかかわらず、当社から漏れた情報ではないと一点張り。全く話にならなかったのを覚えています。しかし、2017年に、この住所でポンの作者の鳥取ループが敗訴していることを最近知りました。

なにやら、京都市内に在住する原告がプライバシー侵害を訴えた裁判で、大阪高裁は原告の訴えを認め、サイト運営者の鳥取ループのMに対して原告の個人情報の削除と5万5千円の損害賠償を命じられたようです。

現在もサイトは名前を変えて運営されており、以前と同じように掲載されていますので、要は、プライバシー侵害を鳥取ループに対して行えば、サイト内からの個人情報の削除と損害賠償できるので、気になる方は訴えてもいいと思います。裁判にかかった費用は、鳥取ループに請求すればいいだけのことです。

鳥取ループ側からしたら、損害賠償の金額もたいしたことないので、集団訴訟でも起こさない限り、サイト自体はなくならないかもしれません。現在では、電話番号で検索より、オレオレ詐欺の金銭の受取の為に住所の特定がこのサイトで行われていたり、過去には、殺人事件の被害者の自宅を特定するために犯人に利用されて事例もあるようなので、社会的にも、このようなサイトはないほうがよいです。

こういうFacebookのページもあります。↓
ABDARC ~対鳥取ループ裁判支援サイト~

 

参考記事

【引用元】部落差別は、今 ~TUBAME-JIROのブログ~

大阪高裁で「ネットの電話帳」裁判、鳥取ループは敗訴!

2017年11月16日、「ネットの電話帳」に、名前・住所・電話番号などが掲載されていることに対して、京都市内に在住する原告がプライバシー侵害を訴えた裁判で、大阪高裁は原告の訴えを認め、サイト運営者の鳥取ループのMに対して原告の個人情報の削除と5万5千円の損害賠償を命じました。

また、裁判中「特設サイト」に原告の氏名や住所・電話番号・郵便番号が掲載された裁判資料のネット公開についても、削除命令と5万5千円の損害賠償を命じました。

「ネットの電話帳」(旧「住所でポン」)って?

「ネットの電話帳」は、鳥取ループことMが、NTTの電話帳(ハローページ)に掲載されている個人情報(名前・住所・電話番号)を「すでに公開されている情報」だからと二次利用し、ネット上で公開し、全国の電話帳の情報を一つにまとめ、住所順に加工し、ネット公開しているサイト(アプリ)です。

このサイトが利用され「解放同盟員人物一覧」が作成されているといわれており、現在でもコピーサイトにおいて運動団体の役員や同盟員などの自宅住所や電話番号などが次々とネット公開されている元になっています。その意味では「全国部落調査」復刻版裁判にとっても重要な判決だと思います。
 訴訟資料の公開(原告の名前・住所・電話番号をネットに晒す)
また裁判中、被告のMは、特設サイトを作り、原告の氏名・自宅住所・電話番号・郵便番号等が掲載された訴訟資料をネット公開してきました。そのため、裁判での原告の陳述書の提出も公開される恐れが強く、断念せざるえない状況なども起きていました。

一審の京都地裁の判決では、訴訟資料のネット掲載は住所・電話番号は不許可として原告の氏名のみは掲載を認めました。しかし、2審の大阪高裁では、原告の氏名も掲載を不許可としました。

これは「復刻版」裁判でも同様の行為をおこなっており、出版禁止・サイト掲載禁止の仮処分を求めた原告らの住所や本籍地等を、示現社のブログで公開してきた行為と同じです。

訴訟資料に掲載されている個人情報(名前や住所等)を「本人同意」なくネット掲載することはダメであるという高裁判決が出た意義は、「復刻版」裁判にとっても大きな意味を持ちます。
★判決のポイント(争点と判決)
1,個人情報(氏名・住所・電話番号)はプライバシー権に該当する!
「氏名,住所及び電話番号などの個人を識別するための情報は,本来一定範囲の他者に開示することが予定された単純な情報であっても,本人が,自己が欲しない他者にみだりにこれを開示されたくない情報であると認められる以上,プライバシーに係る情報として法的保護の対象となるというべきである」(最高裁判所平成15年9月12日第二小法廷判決・民集57巻8号973頁参照)。

 

①紙媒体とネット公開は違う!

すでに電話帳に掲載されている(公開)されている個人情報(氏名・住所・電話番号)だからという理由で、ネット上に掲載することは許されない。

判決では「不特定多数の者からのアクセスが容易になり、生活の平穏について不安を抱く者がいることは否定できない。」「本人が、自己が欲しない他者にみだりにこれを公開されたくない情報であると認められる」として、プライバシーの侵害に該当すると判断しました。この判例をもとにすれば、「解放同盟員人物一覧」でも同様の事が言えます。

②掲載承諾は必要!
被告Mは、すでにハローページに掲載されている情報であり、公開された情報を自分が掲載しているだけで問題ないと主張しています。

しかし、判決では「特定の相手方や開示方法を指定した情報開示の同意が、他の者や他の開示方法に対する同意ないし承諾と同視できるとは考えられない」としました。

つまり、原告はNTTのハローページで「紙媒体での情報の開示(しかも、配布先は原則として掲載地域に限定されている。)に対して同意ないし承認」したにすぎません。公開されている情報だから無断でネット掲載してもいいという事ではないということです。

しかも、「インターネットに掲載された情報の複製は極めて容易であるため、いったんインターネットで情報を公開してしまうと、情報が容易に拡散し、いったん拡散してしまった情報の削除は事実上不可能となってしまうことから、紙媒体を用い、配布先が基本的に掲載地域に限定されているハローページヘの掲載とは,著しく異なるものである。」と指摘しています。

つまり、すでに書籍や紙媒体で個人情報が掲載(公開)されていることをもって、ネット上への掲載を許可したことにはならないということです。しかも、原告本人はネット掲載を「不同意ないし不承諾の意思を明らかにしている。」からおなおさらです。

上記の理由から、「ネットの電話帳」に本人の了解なく、原告の名前・住所・電話番号の個人情報を掲載したことは「違法である」と判断されました。
★被告Mの反論を裁判所は却下
①「プライバシーは憲法上の権利であり私人間に直接適用されることはない」

裁判所⇒適用される。「私人間においてプライバシーを法的利益とする人格権侵害を理由として民法709条の不法行為」等が成立する。

 

②「電話帳は個人情報保護法の規制対象の除外だから、(自分の行為は)違法ではない」

裁判所⇒「法の規制対象外にあたることをもって、直ちに当該行為(ネット掲載)に違法性がないということはできない」

 

③「全国の図書館等で閲覧が可能だから公知の事実で、プライバシー情報に該当しない」

裁判所⇒「情報の内容が同じであっても、ハローページは、紙媒体を用いたもので、配布先が原則として掲載地域に限定」されている。ハローページへの掲載をもって「その情報が公知の事実であると評価することはできない。」

 

④「ネットの電話帳は、災害時の被災者の安否確認等で活用され、社会的に有用性が高い」

裁判所⇒「個人の氏名、住所及び電話番号といった公共の利害に直結しない事実を整序し、検索可能にして掲載したというもの」「表現の自由により保護されるということはできない」